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「空き家特措法」による問題展望 - 評価コンサルオフィス・ケン/桂健二

 

空家等対策の推進に関する特別措置法(いわゆる空き家特措法)が平成26年11月27日に公布、続いて翌27年2月から政令、施行規則(省令)、基本指針(告示)が示されて平成27年5月26日に完全施行されました。各自治体では以前から「空き家」問題を認識し、さまざまな関連条例を制定して「適切な管理が行われていない空家等」の防災、住環境阻害問題に対応、さらに活用のための対応をしてきています。これらを国(国土交通省)が統一的な基本指針を策定、支援する体制を創り上げたものといえます。また、学会関連でも(公益社団)日本不動産学会が平成27年11月に「空き家対策セミナー」を開催、国と自治体の担当者から具体的な活動報告を受けて学会専門家の講演が行われました。

 

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では、自治体の具体的な活動とはどのようなものでしょうか?実例を調べてみました。

•京都市の活動
平成27年4月30日、上京区所在の倒壊危険な木造空き家(所有者不明)を行政代執行(空き家特措法ではなく建築基準法に基づく)で解体撤去(費用約470万円)を実施しました。全国で初めてのケースです。(京都新聞記事)
京都市は平成26年4月に「空き家の活用と適正管理に関する条例」を制定、約1年かけて720件の「空き家」を把握、そのうち所有者不明あるいは所有者判明なるも連絡とれないものが約300件ありました。

•横須賀市の活動
平成24年10月に「老朽危険家屋」苦情を受け付けてから所有者調査を行ったが不明のままとなっていた事件につき平成27年9月、「空き家特措法」に基づく「特定空き家」と認定、10月26日行政代執行で解体撤去を実施しました。特措法による行政代執行は初めてのケースとなりました。

•文京区の活動
平成26年5月28日「文京区空き家等対策事業実施要項」を決定、関連の「老朽家屋審査会」「老朽家屋除却跡地利用検討会」「空き家対策事業補助金交付要綱」を策定実施しています。毎年「空き家相談会」を開催して平成26年度は跡地の有効活用が2件実現しています。跡地活用は原則10年間、無償にて区が借り受けることとなっています。

 

さらに、「空き家ビジネス」と称して、様々な団体、NPO法人が活動しています。また、これに関連する「個人資格」を認定しようとするケースが出てきています。「空き家特措法」の「目的、定義」に沿った活動が期待されます。ひとつの事例として京都市による「地域連携型空き家流通促進事業コーディネーター」制度が参考となると思われます。

 

いずれにしても、国民社会生活の基盤となる住宅家屋、地域コミュニティの基盤ともなる住宅家屋に関する問題であることを認識し、法令遵守、社会規範に則り良識ある活動が望まれます。

 

評価コンサルオフィス・ケン

不動産鑑定士 桂 健二

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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