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何階に住むのがお得? - 鑑定法人エイ・スクエア/菅原健

 

テナントビルや賃貸マンションを経営するに当たって、賃料設定に悩まれる方も多いかと思います。基準階賃料をいくらにしたらよいか、共益費をどうするか、敷金や保証金はどうするか等々。これらについては期待する収益の水準はあるものの、賃料相場を調べ、地元精通者の意見も参考に決めることになるでしょう。

 

次に各階にどのくらいの賃料の差をつけるかも悩みどころです。賃貸借契約は長期にわたる契約となるため、安く貸してしまったからといって、契約更新時等に増額するのは難しいものです。また、ある階の賃料が高すぎて空室のままとなった場合は値下げで対応することになるのでしょうが、この情報が先に契約したテナントや入居者の耳に入ると「ウチも値下げしてくれ」となりかねません。

 

この各階ごとの格差のことを鑑定評価では「階層別効用比」といいます。勿論、賃料だけでなく、高層マンションを分譲する場合も階層の違いによる価格格差を決める必要があります。この格差付けに失敗すると人気が偏り、売れ残りが出てしまいます。タワーマンションの場合、たとえば3階と最上階の30階とでは、1階上がるごとに1%の格差を付けたとしても27%も単価が違ってしまいます。同じ専有面積でも、下は5,000万円で上は6,350万円です。実際はもっと差をつけても売れる場合が多いでしょう。夜景がきれい、富士山が見える、海が見える、蚊が入ってこない、裸で生活できる等々確かに効用に格差はあるのでしょうが、最大の効用は「ウチは上階階級ですわよ」と自慢できることでしょうか。

 

余談ですが、この実勢価格と相続税評価額(今までは階数による差はなかった)との差に注目した相続税対策が問題となり、税務当局は今後の新築マンションについては評価額に格差を付けることになりました。しかし、今度は中古のタワーマンションが人気となるでしょうね。資産家と税務当局のイタチゴッコはまだまだ続きそうです。

 

次に6階建の繁華街にある全館居酒屋さんが入っているビルの賃料を考えてみます。勿論1階の店舗(路面店舗)が最も高く、次がエレベータのほかに階段も使える2階が高く、その上はほぼ同水準となりますが、繁華性が高い場所ほど1階との格差が大きくなります。

 

では、地下にも店舗がある場合はどうでしょう。実は2階より地階のほうが高いのが一般的です。トントンと階段をおりることはそれほど苦ではなく、むしろ怪しげな雰囲気に誘われるからなんだそうです。「水とお金は高いところから低い所へと流れる」という格言は水商売にも当てはまりそうです。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 菅原 健

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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