連日、熊出没のニュースが、ニュース番組、ワイドショーを賑わせている。また、筆者の実家は河口の近くに存するが、周辺に「鹿の群れが生息している。」との投稿がSNSになされるなど、人の生活圏への野生鳥獣の「進出」が日常化しつつある。
ところで、熊出没・鳥獣被害のニュースに影響されたのか、ジビエ(野生鳥獣肉)料理がマスコミ等に取り上げられるようになってきている。筆者が仕事で訪れる神奈川県の松田町には、増加する農作物の被害対策、捕獲した鹿・猪の有効活用のため、足柄上郡5町とJAかながわ西湘の共同による公設型ジビエ処理加工施設「あしがらジビエ工房」が稼働している。当該施設は、放映中のドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』に登場した「HACCP(ハサップ)」に沿った厳しい衛生管理がなされている。

当該事業の持続可能性には、一般消費者のジビエへのイメージもあり、やや疑問を抱いていた。しかしながら、施設長の話では、「周辺市町のイベントへの出店依頼、東京・横浜エリアの飲食事業者による仕入れに加え、個人の直接購入等もあり、余剰の在庫はほぼ無い。」とのことであった。事業自体は順調に進捗しており、当初、懸念された販路開拓は今では問題となっていない。むしろ、地元住民がジビエを好まないこと等もあり、地域活性化に繋がる「地産地消」がなかなか進展していないこと、ハンターの減少・高齢化、さらに「ジビエの旨さ」に直結する解体技術の継承が、今後の懸念材料となっている。
ジビエの代表格である鹿肉は、高タンパク、低脂肪・低カロリーであること等から、「肉好女子」にとって魅力的な食材である。健康ブームと相まって、特に所得が高い東京での需要は、今後も増加していくものと思われる。実際、筆者の生活圏においても、ジビエ料理を提供する飲食店は年々増加している。
E型肝炎ウイルス、寄生虫等による食中毒のリスクが存在することから、ジビエは、畜肉に比べ、より厳格な衛生管理が求められる。しかしながら、「一部の飲食店では、衛生管理が不十分な環境下で、解体処理がなされたジビエが提供されている。」とも聞く。
自社等が賃貸または仲介したテナントが、HACCP(ハサップ)」に沿わずに処理されたジビエを提供している場合、食中毒発生によるマイナスイメージ、ひいては家賃滞納・突如の退店等のリスクが生じる可能性が十分にある。そのようなリスク回避のためには、農林水産省が『ジビエ処理加工施設名簿』をホームページにて公表しているので、「テナントがジビエを提供している場合、仕入れ先が名簿に記載されているか。」の確認をお勧めしたい。


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