新年度がスタートしましたが、先日総務省の人口推計が発表されました。2024年10月1日現在の日本の総人口は1億2380万人あまりとなり、前年に比べ55万人の減少となりました。これは14年連続の減少です。都道府県別でみてみますと、人口が増加しているのは東京都と埼玉県だけです。東京都の人口増加率は0.66%と最も高く、前年に比べ0.32%拡大しています。対して人口減少は45道府県となっており、人口減少率が1%以上となったのは秋田県(-1.87%)、青森県(-1.66%)、岩手県(-1.57%)となっています。前年から3県増加しており、このデータから東京を中心とした一極集中が顕著になっていることがみてとれます。

それでは一住宅当たりの延べ床面積を都道府県で比較するとどうなるでしょうか。国土交通省の令和6年度住宅経済関連データによると一番広いのが富山県の140.01㎡、二番目が福井県の136.71㎡、三番目が山形県の134.44㎡で、そのあとは秋田県、新潟県、島根県と続きます。一番狭いのは予想がつきますが東京都の64.02㎡です。その後は沖縄県、大阪府、神奈川県と続いています。借家の比率が高い沖縄県を除いて首都圏の住宅の面積が狭いようです。また、延べ床面積はどのように推移しているでしょうか。新築分譲マンションの専有面積の比較になりますが、㈱不動産経済研究所の調査によると、首都圏 1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)では2014年の専有面積の平均値は71.16㎡、2016年には69.22㎡、2019年には68.00㎡、2024年には66.42㎡となっています。この10年間でだんだんと狭くなってきているのがわかります。
3月に今年の公示地価が発表されました。地価は全国的に上昇傾向であり、三大都市圏では上昇幅の拡大が続いています。地価の高い都心部で住宅を建てる場合、建築費や人件費の上昇も相まって、限られた空間に居住スペースを確保しなければならないので床面積は小さくなってしまいます。また人口動態、ライフスタイルの変化に伴って単身世帯が増え、狭い間取りの部屋へのニーズも増えていくでしょう。ミニマリストという言葉が一時期流行りましたが、ミニマリストのメリットは消費が減る、掃除がしやすくなる、自分の時間が増える、ストレスが減る・心に余裕ができる、集中力がアップする、行動力がつく、などなど。都心の人口は増え居住空間は狭くなってきていますが、狭い空間にもこのようなメリットを見出し、無駄を削ぎ落して心地よい生活を目指していきたいものです。
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