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戦後土地の動きの備忘録 - 森島不動産コンサルタンツ/森島義博

 

「平成」があと10ヶ月となった今、戦後73年の日本の変化の過程を如実に映し出してきた「土地」の動きを振り返るのも意義あることと考え、備忘としてまとめてみた。

 

1.戦後期
 終戦の翌年、1946年にGHQによる農地解放が行われた。これによって地主・小作関係の開放が行われ、わが国から「大地主」といわれる者がいなくなった。1947年には日本国憲法が発布され、同29条や民法に私有財産制の保障が明記され、土地に対する所有権意識が強く浸透していった。
 
2.工業化社会の進展
 1950年代、戦後工業化社会の進展とともに農地が工業地へ転換していった。土地所有者は、土地に農業生産とは異なる価値(売却すれば資金化できること)を認めるようになった。都市部への人口流入が継続し、土地価格が上昇した。銀行は土地を担保とする融資方式を確立し、「土地本位制」という言葉が生まれた。「土地神話」の誕生である。
 
3.戦後4回ある土地価格の高騰期
(1)1960年:池田内閣による所得倍増計画の時期・高度成長期
 1人当たり実質国民所得は7年間(~1967年)で倍増し、土地を持つ者と持たざる者の格差問題が発生した。
(2)1972年:田中内閣による日本列島改造論の時期
 日本列島を高速交通網(新幹線、高速道路)で結び、地方の工業化を促進した。過疎・過密問題を解決する目的の政策であり、各地で開発事業計画が策定された。しかし、開発しない土地の価格も上昇し、“一億総不動産屋”と呼ばれた。程なく、国土利用計画法による価格の制限がなされ(1974年)、汚職問題が頻発したりして沈静化。
(3)1985年:プラザ合意による円高容認、バブルの時期
 大幅金融緩和による金融機関の過剰融資と地価大幅上昇を抑制すべく、総量規制・金利引き上げが行われ(1990年)、金融機関・不動産業・建設業が相次ぎ破綻した。土地神話は終焉し、“失われた○○年”がスタートする。
(4)2000年:不動産金融商品化に伴う価格上昇
 資産流動化法・投信法による不動産の利回りに着目した実質的な投資が行われ始めたが、安い日本の不動産へ外資が流入。2003年ころからのITファンドバブルにより富裕層が発生、不動産価格の上昇が見られたが、リーマンショック(2008年)により崩壊。
 
4.現在
 異次元の金融緩和・ゼロ金利政策。不動産融資の過熱化、都市部の価格高騰、不動産投資利回りの低下。前記のように土地価格高騰期はほぼ10数年ごとになっている。将来、振り返ると「平成の終わり頃がピークだったね。」と言う話になるのだろうか?
 

森島不動産コンサルタンツ

不動産鑑定士 森島 義博

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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