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経済的耐用年数の判定 - 鑑定法人エイ・スクエア/畠山文三

 

中古住宅の質に対する情報提供を充実させるべく、専門家が建物の状況を診断するインスペクションが活用され始めている。 建物の今後の耐久性を左右する構造面の損傷具合や設備の劣化状況について、外観目視ではあるが詳細な現場調査により情報を提供するもので、経年にこだわらない実態価値を知る道標になる。これを基に適切な修繕費用等を投下すれば耐用年数を伸ばすこともできるだろう。

 

経済的耐用年数の判定

では、そもそも建物や設備の耐用年数を判定するにはどうすればよいか?旧大蔵省令による「耐用年数表」では木造の住宅用建物は22年、鉄筋コンクリート造の事務所用建物は50年とされている。しかし、課税上の目的から一律に定められた法定耐用年数は、耐久性の実態までは表してはいない。建物はそれぞれ品等も異なれば維持管理の状態も異なる。不具合が生じた都度修繕を行い、時には時代のニーズに適応するための設備の更新や改修等をしないと、住宅では快適性が劣ってきたり、賃貸用不動産では収益を上げるうえでの競争力が低下してしまう。新築時の品等だけではなく、取得後の管理運営努力の多寡によっても、残存耐用年数は異なってくるのである。

 

もとより、経済的な耐用年数は法定耐用年数とは異なるが、物理的な耐用年数ともイコールではない。建物における広義の「劣化」は、物理的要因に加え、機能的要因や経済的要因が絡み合って具現化しているものであり、経済的な耐用年数は「建物が経済的に地域社会の中で稼働できる寿命」ということができる。収益用不動産の場合、経済的残存耐用年数が長くなればそれだけ総収入が増加する。金融機関にとって、融資先の担保不動産が老朽化し法定耐用年数に近づいている場合、当該建物の経済的残存耐用年数を把握することは、担保適格性を判断するうえで重要になってくる。

 

不動産証券化の世界では、建築および設備の専門家がチームを組んで建物の物理的・機能的な現況を調査したER(エンジニアリングレポート)が作成されており、これを基に残存耐用年数を判定している。不動産鑑定士はさらに当該不動産が所在する地域の地域要因を分析したうえで、経済的残存耐用年数を判定する。人口が減少し市場の縮小が予想される地域に立地する収益用不動産と市場の拡大が予想される地域に立地する同種・同品等の不動産とでは、経済的残存耐用年数は異なる判定になる。ERがない場合、経済的残存耐用年数の判定は、不動産鑑定士にとってはかなり重い判断をしなければならないものであり、建築・設備・維持管理に係る資料と現地を観察した状況とを総合的に分析して結論を導き出している。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 畠山文三

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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