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所有者不明土地問題への対応について - 評価コンサルオフィス・ケン/桂健二

 

所有者不明土地が公共事業や地域都市開発事業推進における障害となっていることは周知となってきています。とりわけ、震災復興事業やまちづくりの障害となるケースが発生し、このままでは、少子高齢化・人口減少問題に備えてコンパクトシティを手法とする国土のグランドデザイン計画にも大きな障害となり社会的リスクはますます増加するものと懸念されます。

 

この問題は国土地籍調査において、従前から調査業務推進の障害の大きな要因と把握されていました。一例を挙げます。私がコンサルを依頼されたあるゴルフ場の課税評価で問題となりました。当該地域は地籍調査が90%超進捗していましたが、地籍図では該当ゴルフ場のみが白図となっています。原因はゴルフ場の山林の一部に数十区画の山林分譲地(50年以前の区画分譲、いわゆる原野商法によるものと推察されます)があり、所有者不明区画が多く境界確認作業が不調となって地籍調査が未完了になっていました。

 

ようやく、2017年に喫緊の課題のひとつとして骨太の方針2017(閣議決定6月9日)で方向性が示され、関係省庁(国交省、農水省、法務省、総務省等)で検討開始、12月に国交省国土審議会特別部会の中間とりまとめ案が公表されました。

 

民間シンクタンクでは所有者不明土地問題研究会(座長:増田寛也)から2017年12月に最終報告「土地活用革命:眠れる土地を使える土地へ」として所有者不明土地問題に対する様々な提言がなされました。これらを受けて年末年始のマスコミに不動産登記の早期義務化、コンパクトシティ誘導施策、まち機能の集約等の記事が掲載されました。

 

提言されている対策は私見を含めて次の通り抜粋してみました。
短期対策としては、①土地所有権登記の義務化と罰則・・権利と義務、②相続登記に関する特例措置・・手続簡略化、費用の軽減、③相続税の不動産物納手続の簡略化、優先順位の特例、④相続登記の長期未了土地の調査、明示化・・登記官に職務権限、公開制度の制定、等。

 

中長期的対策としては、空家問題も含めて①所有権情報の一元化・・登記、課税、戸籍、住民登録、マイナンバーに基づく情報集約整備、②不動産所有権放棄の仕組み、制度策定・・相続、贈与時点の制度、③放棄不動産の受け皿・・国、地方公共団体等、中間機関として民間資金利用の受け皿、等。

 

いずれにしても、この問題は私たちの生活に近い将来直結してくるものであり、国民全体の問題として認識される元年となることを期待して、不動産鑑定業界にあっても周知させていく必要があり、不動産鑑定士として私個人もおおいに啓蒙していかなければならないものと認識しています。

以上

 

評価コンサルオフィス・ケン

不動産鑑定士 桂 健二

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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