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建物の高さと高層化の歴史について - 鑑定法人エイ・スクエア/幸﨑任宏

 

東京オリンピック・パラリンピック競技大会で注目を集めた東京の晴海エリアをはじめ、全国で再開発に伴う建物の高層化が進んでいる。

 

良好な景観や市街地環境を形成していく上で建物の「高さ」は重要な要素であり、高層化促進と高さ制限の両立を戦後の社会ではどう図っていったのか、戦後復興から高度経済成長期、バブル経済期からバブル崩壊以降現在までの建物高層化の歴史を振り返ってみたい。

 

①ビルブーム・不燃高層アパート建設期…昭和25年に建築基準法が公布され、全国に「ビルブーム」が起こった。一方、戦後の住宅不足と建物の不燃化問題を同時に解決するために、鉄筋コンクリート造のアパートの建設が公営住宅を中心に進展した。当時は31m(住居地域以外)、20m(住居地域)の高さ制限が踏襲された。

 

②天守閣再建(昭和築城ブーム)・タワーの建設…昭和30年代は戦災で焼失した各地の天守閣の再建が進んだが、同時にタワーブームでもあった。昭和29年竣工の名古屋テレビ塔を皮切りに、大阪、東京、横浜、神戸、京都においてタワーが建設された。

 

③高さ制限の撤廃・超高層ビル時代の幕開け…昭和38年に容積地区制度が創設され、昭和45年には用途地域における絶対高さ制限が撤廃され、容積制へ完全移行した。こうした動きを受けて、昭和43年にわが国初の超高層ビルである霞が関ビル(高さ156m、36階)が竣工した。また、副都心・西新宿の淀橋浄水場跡地を含むエリアには、京王プラザホテル、東京都庁第一本庁舎等をはじめとして、次々と150~200m超の高層建築物が竣工し、本格的な超高層ビルの時代へと入った。

 

④バブル崩壊以降~現在、景気対策としての規制緩和と高層化…バブル期には規制緩和が進められたが、バブル崩壊後は不良債権化した土地の流動化が課題となる。平成9年に閣議決定された総合土地政策推進要綱では「所有から利用へ」が謳われ、土地の有効利用を図るために規制緩和が行われた。平成14年には都市再生特別措置法が制定され、全国的に再開発が進み、150~200m規模の超高層ビルが竣工し、住宅の超高層化も大きく進展した。平成23年3月に発生した東日本大震災の建築被害を踏まえた建築基準の検証・見直しも行われた。

 

再開発は街を大きく変える一大イベントといわれる。再開発のメリットは究極的には生活利便性が向上し、住みやすい街になることであり、社会構造の変化を見据えつつ、行政と事業者・住民との協力をいかにうまく築きあげていくかが肝要となろう。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 幸﨑 任宏

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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