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大分駅ビル開業後の既存商店街との住み分け - 長嶋不動産鑑定事務所/木内純子

 

平成27年4月、店舗・ホテル・シネコン等からなるJR大分駅ビルが開業した。総事業費(見込額)は約150~200億円で、当初目標は年間売上げ200億円、年間来客数1,100万人であった。これに対し、開業1年目の売上高は約230億円、来客数は約2,500万人、2年目の売上高は約223億円、来客数は約2,221万人でいずれも目標を大きく上回る順調な滑り出しを見せている。「黒船来航」に例え、駅ビル進出に大きな不安を抱いていた周辺の既存商店街も総じて業績は好調に推移し、「空き店舗はでても、すぐに埋まる」、「出店意欲が増している」などとバブル崩壊後は見られなかった明るい表情を取り戻しつつある。また、客層が駅ビルと重なる郊外の大型店舗も売上げ減少は想定内に収まっている。

 

このように駅ビル開業は大分市中心市街地に大きな集客効果をもたらし、他の商店街や郊外の大規模店舗には開業前に心配されたようなマイナスの影響を及ぼしていないことが窺える。これは、①東九州自動車道の開通により、宮崎県や福岡県方面の商圏が広がったこと、②今まで福岡市の天神や博多に流れていた顧客の流出に歯止めがかかったことの影響が大きいと思われる。

 

駅ビル開業は既存商店街の店舗構成にも大きな変化をもたらしている。駅ビルに一番近い商店街「セントポルタ中央町」では、飲食店の比率が大きく増し、物販店舗の比率が大きく減少している。特に駅ビル開業後の2年間で物販店舗は約23%も減少している。これは、従来の物販店舗は駅ビルに顧客を奪われたことによりさらに商況が悪化し、撤退を余儀なくされた一方、駅ビル内には来客数の割に飲食店舗が少なく、駅ビル内の客が飲食に際し、一気に「セントポルタ中央町」に流れるようになったことが原因と考える。また、このような動きが広がり、駅ビルと既存商店街の住み分けが進めば、<隣接>という位置関係にある駅ビルと既存商店街とが将来、一体となった大きなショッピングエリアの形成に繋がり発展することが期待できる。これが、駅ビルと既存商店街が分断され競合関係にある鹿児島市や長崎市と大分市との大きな違いである。

 

今後の注目すべき動向としては、ファッションビル「フォーラス」が平成31年春に「大分OPA」として再オープンする予定であること、大分駅前の大分パルコ跡地を大分市が購入検討を表明したことが挙げられる。いずれも大分市内の一等地につき今後の中心市街地の発展に大きく影響を及ぼすとものと思われる。

 

長嶋不動産鑑定事務所

不動産鑑定士 木内 純子

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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