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地域の分け方 - 鑑定法人エイ・スクエア/菅原健

コロナ禍では普段気にも留めないようなことが気になる。8月に始まった「Go toトラベルキャンペーン」から東京都が除外された。東京都町田市に住んでいる人はアウトで神奈川県相模原市に住んでいる人はオッケーだった。この2市は同一生活圏を形成しているのに、危ない地域と大丈夫な地域に分けられてしまったのだ。また、他県からの東京スカイツリーへの旅行は対象外だが東京ディズニーランドへの旅行はお安くなる。確かに、どこかで地域の線引きが必要なのは理解できるが、行政区分で安易に分けることが随分と多いように感じる。

 

地域の分け方

不動産鑑定評価においても、「地域」は重要な概念だ。なぜなら、不動産の価格は地域ごとに大まかな水準が形成されるからだ。「不動産鑑定評価基準」には近隣地域、類似地域、商業地域、住宅地域、地域要因等々「〇〇地域」「地域〇〇」という専門用語が多数存在し、それぞれに厳密な定義・意義があるのだから頭が混乱してくる。と言っても、基本は評価対象物件の地域を広域的にまた狭域的に分析すること、すなわち地域のことを多角的に知ることだと思う。

 

そんな地域の範囲を決めるときに留意すべきなのは、地域が分断される様々な要因があることだ。まず、人々の往来を阻むような河川、山岳、地勢、道路、鉄道等の存在である。以前千葉県柏市で仕事をしていた時、利根川を渡って茨城県取手市に入った途端、言葉や文化がガラッと変わって驚いたことがある。一方、人文的なものとして人々の不動産にかかる経済活動を規定する都市計画法、建築基準法、条例等行政上の線引きなどもある。

 

このように、地域の分け方には地域概念に即して様々なアプローチがあるのだが、日頃、評価業務に追われていると他の鑑定士が調べた〇〇市の概況をそのまま借用する場合もあるなど「地域」の捉え方、分け方、調査・分析が杜撰になりがちで、反省しきりだ。

 

地方出張の際、ホテルで見る地元の天気予報が面白い。たとえば、福井県は「嶺北」と「嶺南」に分けられている。この地域の分け方も気象庁が決めているらしいが、気候の違いが地域文化の違いを醸成すると思えば人間らしい地域の分け方と言えよう。

 

また他にも、石川県は「加賀」と「能登」に、青森県は「津軽(青森)」「下北(むつ)」「三八上北(八戸)」に、山形県は「庄内(酒田)」「最上(新庄)」「村山(山形)」「置賜(米沢)」に分けられている。これらはいにしえの藩の違いを彷彿とさせて興味深い。

 

行政改革が叫ばれる中、地域の分け方も行政区分だけに偏らないことを願いたい。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 菅原 健

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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