株式会社 鑑定法人エイ・スクエア-Appraisal Firm A square-

高度な専門性を有する不動産鑑定会社です。全国ネットワーク化により、あらゆる鑑定・調査ニーズにリーズナブルな報酬額でお応えします。

お問合せ専用ダイヤル (NTTフリーダイヤル) 0120-956-392  営業時間 平日 9:00-18:00

RSS FEED

台湾人の不動産投資事情 - 鑑定法人エイ・スクエア/畠山文三

 

6月下旬に台北市で開かれた「第2回沖縄・台湾不動産鑑定フォーラム」に参加した。20年以上前になるが、筆者は同地に2度にわたり長期滞在したことがあり、久しぶりに故地の変化を垣間見ることができた。同時期に前後して駐在した北京では、現在では空港から車に1時間近く乗っても、当時見慣れた建物を見つけるのは難しいが、台北では空港を出れば以前とほぼ同じ景色が広がっている。地下鉄や新交通システムにより利便性は向上したが、都市の“骨格”は大して変わっていない。九州とほぼ同じ面積ながら、人口密度は倍以上という台湾は、今では世界に冠たる先端技術の島。しかし、都市機能の高度化という点ではかなり遅れをとっている。

 

台湾人の不動産投資事情

フォーラムでのテーマの一つ「台湾の都市再開発手法と問題点」では、直面する問題点として、「審議と権利変換の時間が長すぎる」「情報の不透明性」等が挙げられていた。台湾側からのリクエストにより、沖縄県不動産鑑定士協会は日本の土地収用法制を手続面や過去の収用事例(成田空港開港当時の攻防)についてスライドを交えながら丁寧に説明した。国情や法制の違いがあり十分な理解には至らなかったが、台湾でもこうした利害が鋭く対立するような事案については、今後、手続き面が整備され、社会の成熟度も高まれば日本の経験が活かされることだろう。

 

フォーラムでは、大手不動産仲介会社の社長から台湾人の投資事情についての興味深い話しが聴けた。近年、台北市の不動産は高騰した割には賃料は上がっておらず、利回り面で魅力に乏しい。当局の域内不動産投資規制も影響して、海外不動産投資が活発化している。現在、台湾人投資家が注目している世界の都市は、ロンドン、東京、上海であると。

 

アベノミクス効果により国内の不動産市場は活況を呈し、アジアとりわけ台湾からの投資マネーが増えているのは周知の通りだが、台湾の2013年の一人当たり名目GDPは20,930米ドルで、これは日本の1987年頃と同じ水準。日本と比べ、台湾は居住スペースが広い割に賃料総額は低めで、レジデンスについては投資妙味に乏しい。中国などへの工場移転が当たり前のこととなった今、オフィスニーズも盛り上がりを欠いている。そこで、政権が交代し、円安が見込める日本の不動産に目を向けると、台湾より価格は安く、利回り・品質も良いため、一大投資ブームとなったというのが実態であろう。その投資行動のベースには、台湾人特有の「日本」に対する心情的な安心感がある。今春、東京都心部のオフィス賃料は、5年半ぶりにプラスに転じた。台湾人投資家の日本の不動産への関心はまだまだ続きそうだ。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 畠山 文三

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


« »

お問合せ専用ダイヤル (NTTフリーダイヤル)
0120-956-392
営業時間 平日 9:00-18:00

(C) Copyright 株式会社 鑑定法人エイ・スクエア ALL rights reserved.