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動き始めてきた「家族の信託」 - 鑑定法人エイ・スクエア/澁井和夫

 

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

20160120

さて、一昨年八月と、昨年年明けのこのコラムでは「信託」を取り上げてきました。一昨年が「信託ブレイクの予感」、昨年が「年の初めに考える家族間の信託」でした。予想通り、「家族の信託」が大きなうねりとなって動き始めてきました。昨年お話しした通り、この背景には超高齢社会の到来があります。

 

誰でも一生の最後のステージは、介護され、意思能力を著しく衰えさせた状態で過ごすことになるのが当たり前になったのです。このため、自分の死後のことをいろいろ指示しようとする遺言の前に、自分の意思能力がおぼつかなくなった存命中の資産管理・運用について、誰かに任せることができないか、を考えなければならない時代になったのです。

 

映画でも取り上げられた「後妻業」のように、高齢者の資産目当てに近づいてくる怪しい輩も多く、また、成年後見人の中にも、本人の人権保護どころか、財産を奪ってしまうような事案も数多く見受けられるようです。信託も万能ではなく、信託の受託者として信頼できる者をしっかりと選び、信託契約によって、その財産管理の方法をなるべく具体的に定めておくことが肝要と思われます。

 

しかし、信託が一生の最後のステージの財産管理の手法の一つとして、検討に値する選択肢であることは否めません。もしも信頼できる人がいなければ、信託銀行などの商売で信託をやっている法人に信託する手があります。が、それなりにコストが生じます。であるならば、信頼できる親族の次世代の者に信託する方が良い場合があります。多くの場合、この信託で財産の管理を任せる相手すなわち信託受託者は、やがて相続の時は相続人として登場する者が多いのですが、信託によって相続よりも前倒しで財産管理を任せることができ、お話しした通り信託受益者を自分にしておけば、財産管理の結果得られる果実は自分で受け取ることができます。

 

「信託」を原因として財産の所有権は受託者に移転され、法律上、財産は受託者のものとなりますが、そこから上がる家賃収入などの果実は自分のものとなるので、税務上確定申告するのはご本人(信託委託者兼受益者)です。信託受託者は将来の相続人であるとすると、信託財産の管理に身が入ります。良い形で信託財産を引き継ごうとモラルが上がるのです。ご本人の意思能力がどうなろうと、所有者である受託者が一生懸命管理をすれば、財産価値は維持されます。また、受託者の借入は本人の借入とみなされますから相続税の縮減にもつながるわけです。

 

鑑定法人エイ・スクエア

顧問・不動産鑑定士 澁井 和夫

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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