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コンパクトシティ- 鑑定法人エイ・スクエア/畠山文三

 

3年ぶりに富山駅に降り立った。前回は新幹線開業を控えて各所で大工事が行われていたが、「富山の薬売り」の銅像が建つ駅前も含め、個性が感じられる駅に変貌していた。改札口を抜けたすぐ先の屋内でLRT(次世代型路面電車)が出発を待っているのも、他の街には見られない光景だ。

 

富山市は5年前にOECD(経済協力開発機構)から、パリやメルボルン、バンクーバーなどとともにコンパクトシティの世界先進モデル都市に選出された。コンパクトシティとは、都市機能が高密度にまとまり、徒歩や公共交通での移動がし易い都市形態のこと。世界から評価された同市の取り組みは平成14年頃からスタートしているが、まだ歴史は浅く、その分、課題も多いようだ。

 

富山市の市域は広く、全国に43ある「中核市」の中で面積は一番広く、人口密度も全国の県庁所在地で44位と低い。こうした典型的な田園都市でもある市の枠組みを作り換えるのは大変なことだとは思うが、同市ではコンパクトなまちづくりのカギを2路線のLRTの導入と事業化にかけた。そこでは、市が軌道整備と車両購入を受け持ち、民間の富山地方鉄道が軌道運送事業を分担するという全国初の運営方式も導入された。市中心部を周回する環状線「セントラム」、廃止されたJR富山港線を利用して整備された「ポートラム」とも運行開始から7年~11年経ち、乗降客数は着実に増加している。富山市は「中心市街地活性化基本計画」を作成した全国の都市の中で第1号の認定も受けており、交付金や税の特例を受けて都市機能の集積も進めている。

 

一方で、郊外の幹線道路沿いには巨大なショッピングモールが建ち、学校、病院も周辺に立地することから、住宅地は拡大している。地価の安さと一定の生活環境が整った郊外住民にとって、都心回帰を考えようにも、利便性の高さに応じて高くなる市街地の地価がネックになる。しかし、高齢になると、いずれは車の運転を返上しなければならない。そうした将来に思いを馳せると、コンパクトなまちづくりとは、市街地を核に数か所の郊外の核と有機的なつながりを保ちながらまち全体の整備が図られれば良いように思う。それ故、性急に1極化を望むべきではなく、LRTの走りのように、ゆっくりと着実に進展させていけばいいのではないか。ちなみに、富山市の人口は、過去5年、年を追う毎に減少幅が縮小し、過去1年ではマイナス0.12%。地価は住宅地、商業地ともわずかながらプラスに転じている。この2つの指標から読み解くべきは、この10数年の市と民間事業者とが協働した街づくりへの熱意のように思える。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 畠山 文三

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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