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シニア期の住まい方に関する意識調査 – 洋和不動産鑑定所/山本 英博

 

高齢者の独居世帯は10年470万世帯が25年には680万世帯に増え、高齢者人口に占める割合は20%にも達するといわれている。しかしこういう高齢者に対する住宅の手当てはいたって貧弱といわざるを得ない。

 

(社)不動産協会調べの「シニア期の住まい方に関する意識調査」によると賃貸型シニア向け住宅に住み替えるきっかけとして「配偶者を亡くし一人暮らしになったとき」「自分自身や配偶者が介護を必要となったとき」「自分自身や配偶者の健康状態が不安になったとき」が上位を占めた。

 

シニア期の住まい方に関する意識調査

最近かつての同僚で70歳を過ぎて一人暮らしをしていた者のうち二人が体調不良を理由に故郷へ帰った。故郷にはまだ近親者がいるとのことで都内にいるよりは安心できるからである。ただ、うち一人は老人施設に入居するつもりであったが、優良な施設がすぐには見つからないため、とりあえず、一般の賃貸住宅に入居した由である。

住宅新報2011年8月23日号によると高齢者向け施設や住宅は定員ベースで全高齢者の5%程度しか供給されていない。しかもその大半がプライバシーや生きがいの確保が難しいといわれる施設である。田舎に帰った彼もいきがいの確保ができる施設が無かったからだろう。

 

彼の場合はとりあえず一般の賃貸住宅に入居できたからいいが、高齢者の入居を嫌がる賃貸住宅が多い。ある調停事件において、賃料値下げの申立て人(高齢独居者)に近隣の賃貸マンションが安いなら移ったらどうですかと聞いたら、保証人が手当てできないから、入居できる住宅なんて無いですよと言われ、改めて高齢者の住宅事情は厳しいものだと痛感したことがある。

 

このような住宅事情を受けて、国は、特別養護老人ホームや有料老人ホームのほかに高齢者の入居を拒はない高齢者円滑入居賃貸住宅登録制度を設け、さらに、高齢者専用住宅賃貸住宅制度を進めている。有料老人ホームは届け出が義務付けられる等規制強化されたため、食事つき、介護サービス付でも高齢者専用賃貸住宅(高専賃)として登録するケースが増えてきた。そしてこの十月からは安否確認や生活相談といったサービス付き高齢者向け住宅の登録を始めた。但し義務付けられるのは安否確認と生活相談のみで、介護や医療は選択サービスとなっている。上乗せサービスはどのようなものか、その費用は居住費に含まれるか確認し、入居後のトラブルを防ぐ必要がある。

 

高齢者向け住宅市場は今後ますますニーズが高まっていくものと予測される。大手ハウスメーカー、デベロッパー、住宅設備関連会社は、高齢者向け住宅の普及を目指し、一般社団法人「高齢者住宅推進機構」を発足させている。高齢者は家族構成、収入、健康、趣味趣向等は多種多様であるから、これらのニーズに適切に対応することが必要となろう。

これがまあ終の栖か雪五尺
小林一茶

 

洋和不動産鑑定所

山本 英博

 

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)

 


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