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パソコン対不動産鑑定士 - 井上不動産鑑定事務所/井上啓一

 

「パソコンなし 携帯もなし どうもなし」。ラジオの川柳番組で耳にした句である。機械物が苦手な私には好ましい世界であるが、仕事の面ではパソコンは必需品であり、パソコンなくして「どうもなし」とはいかないのである。

 

パソコン対不動産鑑定士

平成元年に独立開業したときに揃えた事務機器はコピー機、ワープロ、ファックス、電話等であった。当時としてはこれが一般的であり、パソコンは未だなかった。(あったのかもしれないが、一般には普及していなかった。)それから数年後、鑑定業界にもパソコンが普及し、いまや欠かせないものとなっている。

 

一般的要因分析のための資料収集、価格の試算、鑑定評価書の作成等、鑑定評価の各段階でパソコンが大活躍している。パソコンには種々の利点があるが、私が特に気に入っているのは修正が容易な点である。一度試算した結果を再検討し、数値を何度も入れ替えて精度を高めていくという作業が鑑定には不可欠であるが、数値を変えると関連する多くの箇所の修正が必要となり、手計算では大変な作業であり、ときには間違いも起こる。しかし、パソコンを利用すると瞬時に正確に修正できるのである。

 

先般、将棋において興味深い出来事があった。コンピューターの将棋ソフト「ボンクラーズ」と米長邦夫元名人が対局し、「ボンクラーズ」が勝利したのだ。ソフトの開発者はプロの実戦の棋譜を大量に読み込ませ、人間の思考に近づけようとしたとのことであった。ロボットなどでも「より人間らしく」を目指した動きが最近活発になってきている。近い将来には人間的な思考を身に付けたコンピューターが書いた小説を人間が感動しながら読むというような時代が来るのであろうか。

 

さて、不動産鑑定におけるコンピューター(パソコン)と人間(不動産鑑定士)の関係はどうか。現時点では、環境条件の優劣の比較などパソコンでは難しいことがあり、パソコン独自で不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うのは無理である。勝負ではないが、その意味では人間の勝ちである。

 

しかし、人間的な思考を身に付けることにより、それらの弱点を克服し、将来的にはパソコン独自で鑑定評価ができるようになるかもしれない。もしそうなると、鑑定士それぞれの鑑定評価の質により、パソコンより優れた鑑定をする鑑定士と、劣る鑑定しかできない鑑定士に分かれるような気がする。パソコン対不動産鑑定士の勝負は鑑定士個々の力量により結果が分かれ、総合的にみると引き分けということになるのではないか。

 

パソコンに負けない鑑定評価をするために不断の努力を重ねなければならないと思う次第である。

 

井上不動産鑑定事務所

不動産鑑定士 井上 啓一

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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