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福島県郡山市「原発圏外」その後 - パートナー鑑定法人 / 吉田健次

 

今年の夏も猛暑だった。8月下旬、高校生の娘が学校のプールを楽しみに登校して行ったが、プールはなかった。「セシウムが出たから」。どうやら前日の夕立が影響したらしい。セシウムが雨で流され移動することは周知だ。少しでも検出されればプールは中止となる。聞けばクラスの女子の半分以上が放射能のセシウムを嫌がって、プールは「見学」と決めているそうだ。福島県は県医大の協力を得て18歳以下の子供たちの内部被爆検査を実施している。来春の卒業を控えた高3女子から優先的に検査が行なわれた。結果は全員ND(=Not Detected )。それにしても、震災から1年半も経つのにこれが現実の話かと、なんともやる瀬無い。

 

9月27日、NHKが総務省発表の福島県の人口流出について報じた。震災3.11から今年の2月末まで32,500人、今年3月から8月まで11,500人が他県へ流出したとのこと。昨年はともかく、今年に入ってからも流出が止まらない。放射線による健康被害を心配してなのか、「福島県に住んでいる」ことに対するイメージの悪さからか。流出した多くは小学生以下の子どもを持つ世帯で、これから居宅を購入する年代の人たち。しばらく郡山・福島の住宅地の需要は低迷するのだろう。しかし、それでも多くの人が福島県に住んでいる。仕事があれば生活が成り立つ。居宅があれば尚更だ。「フクシマは大変ですね。」―福島県民であれば何度となく気遣いを受けた言葉である。

 

自宅の近所に市営住宅跡地がある。数年前に更地となり、その後の利用はされていない。普通財産売却での鑑定評価の仕事があるかと考えたりしていたが、避難地区の富岡町の養護老人ホームができることになった。「仮の町」構想の一つである。毎朝30分も歩けば震災後の更地が5~6ケ所は目につく。幹線沿いの広い更地にはコンビニが建ち、住宅街の広い更地はハウスメーカーが素地買入れに余念がない。点々と出現している小規模な更地が今後どうなるのか。一斉に売りに出ると土地の価格が下がるのではと鑑定士根性が出てしまう。

 

今年6月に鑑定事務所を立ち上げた。入居した事務所ビルは管理が良く近隣の事務所の賃料相場に比べて割高の家賃であるが気に入っている。以前、オーナーからこのビルはその賃料の高さから東京資本の会社しか借り手がいないことを拝聴した。震災直後2社が退室してそのままになっていた。弊社は2階にある10坪の室を借りている。家賃は月8万8千円。末広がりの八が並んで縁起が良い。10月からは隣の25坪の室に地元のテレビ局の子会社が入った。震災から1年半が過ぎてビルは再び満室となった。

 

株式会社パートナー鑑定法人

代表取締役 不動産鑑定士 吉田 健次

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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