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物流システムの変化と倉庫の在り方 - 森島不動産コンサルタンツ/森島義博

 

製造業、物流業、小売業を巻き込んだ物流システムの革新が起こっています。アマゾンをはじめとした新しい物販業者の商売の在り方が倉庫の在り方を革新しています。そこでは「サプライチェーンマネジメント」と呼ばれる、部品の調達から製造、販売までの複数の企業にまたがる物資の流れを<供給の連鎖>としてひとまとまりで管理する手法が取り入れられています。このような物流システムを支えているのがIT技術であり、よりきめ細かな在庫管理等を可能にし、物流スピードを激変させました。

 

このように高度化・複雑化する物流ニーズに対して、専門家が包括的に業務を請け負うサードパーティー・ロジスティックス(3PL)というアウトソーシングの形態が発展しています。3PLとは、荷主企業が個別に担っていた輸送、保管、在庫管理などの物流機能を一括して3PL事業者が請け負う形態ですが、これに「倉庫」という空間を提供しているのが物流専門の不動産会社や不動産投資ファンドならびにJ-REITです。直近の調査では、不動産投資ファンドの倉庫保有シェアが運輸業に次いで2番目にまで急増しています。一方で、卸売業、サービス業の着工割合は大きく減少しています。これは、企業が倉庫を保有から賃借へ切り替えていることの現われだと考えられます。

 

このような時流に乗った物流施設への投資は、プロロジスやAMBブラックパイン、日本レップなどの私募系の投資ファンドのほか、東証に上場した日本ロジスティクスファンド投資法人を通じ、個人投資家にもその裾野が広がっています。高騰したオフィスビルやレジデンシャルなど他の用途との比較において、物流倉庫の不動産としての利回りの優位性などが支持され、物流倉庫への投資需要は高まるばかりです。物流倉庫の不動産としての利回りが6%以上であるのに対し、日本ロジスティクスファンド投資法人の配当利回りは3%であり、株価(投資口価格)が高いことがわかります。このことから、資本市場からの評価も高いと言えるでしょう。

 

このように「倉庫」は従来の概念とはまったく異なる形態になりつつあります。これはIT技術の発展によるものであり、人手とITとの新たな構成により、きめ細かい在庫管理で効率配送システムの場を造り上げました。これらの技術が今後どのように発展するのかわかりませんが、倉庫の不動産価値の判定においては、従来の価格形成要因に加えて、雇用の容易性、倉庫自体の技術的機能の先端性、IT化の可能性などについても研究しておかなければならないでしょう。

 

森島不動産コンサルタンツ

不動産鑑定士 森島義博

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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