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心理的瑕疵物件について - 森島不動産コンサルタンツ/森島義博

 

最近、陰惨な事件・事故のニュースが目立つ。自殺や殺人事件、孤独死などがあった場所は、人の取得意欲を減退させる。したがって流動性を欠き、その不動産の価格は大幅に低下することになる。自分の所有物件で事件・事故が起こった場合の賃貸人の心情は、察して余りある。

 

心理的瑕疵物件について

不動産において、自殺や事件があったことは「心理的瑕疵」として認識され、不動産市場においては「事故物件」と言われ、キズモノと言う扱いを受けている。売買や賃貸をする場合には、相手側に告知をしなくてはならない。

 

判例では、部屋のベランダで自殺があったマンションの1住戸について、20%の減価を認めたものがある。つまり、最低でも20%は減価すると言うことになる。仲介業界では、一般的に、孤独死などの自然死があった場合は相場価格より20~50%減、自殺の場合は30~70%減、殺人の場合は70~90%減と言われ、賃貸物件の場合、賃料は33%以上の減額と言われている。マンション内での自殺でも、場所が室内かベランダか、飛び降りの場合であれば着地個所がマンション敷地内か公道上かによっても評価は異なる。しかし、実際には売却は非常に難しいようで、事件内容によっては価格をつけることができないケースも多く見られる。

 

こうしたことの“事後対策”はどうすればいいのだろう。マンションの場合は内装や設備など一切をリフォームする必要がある。しかし、それでもマンション内の住人の悪いイメージが消え、売却可能になるまで15年ほどかかったケースもある。賃貸する場合の賃料は、相場の半額以下に抑える必要がある。土地の場合では、面積が大きくて建売業者などが購入して何棟かに分割が可能で、事件等の空間場所の特定ができなくなる場合には、20%減程度で売却が可能となるケースが多い。一戸建ての場合は、建物を取り壊して更地にする必要がある。そして、そこまでの売却準備をしても、実際に売れる金額となると上記の通り通常の価格の50%から30%以下となることも覚悟しなくてはならない。こうした物件の場合、一般の仲介業者は取り扱いを嫌がるが、一方で事故物件を専門に扱う不動産業者も居る。

 

なお、地方自治体では、土地を公園用地や密集市街地災害対策用地、道路用地などとして購入することがあり、その場合は公示価格ベースでの売却が可能であるので、まずは自治体の「まちづくり推進課」「土地対策課」などに持ち込むのも一手である。不動産鑑定士らしくない記述で恥じ入るが、専門家とてこうした物件の評価はそれほど頭痛の種である。(明海大学客員教授)

 

森島不動産コンサルタンツ

不動産鑑定士 森島 義博

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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