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建物価格の査定システムへの取組み - 鑑定法人エイ・スクエア/澁井和夫

日本の中古住宅市場において、建物価格が実際の価値を吟味することなく、主としていわゆる法定耐用年数により評価されることで、過小評価されていることが指摘されて久しい。

 

これは、金融機関が担保評価の物差しとして採用している税務上の減価償却(最短許容)年数が中古市場においても住宅の耐用年数の目安とされ、これにより、建物の耐用年数が極めて短く計算され、築年数が10年以上経過した木造住宅は、“十把一絡げ”に減価されて見積もられることに起因していると言われている。

 

建物価格の査定システムへの取組み

だが、それだけではなく、建物の一つ一つの質を査定してその価値を的確に見定める方法や素養が、不動産市場のプレーヤーである、不動産鑑定士や宅地建物取引士に備わっていない点にあると指摘する向きも多い。そのことは、自動車の中古市場と住宅中古市場を比較すれば明らかである。中古住宅市場における建物評価に関する個別具体的な価格査定情報や方法の成熟が不十分であるといえよう。建物の価格査定マニュアルはきちんとあるのに、これを使いこなせる見識と素養のあるプレーヤーが極めて少ないのである。

 

そこで、ともかく基本的な建物の観察により価格計算のできる簡便なシステムを構築しようするプロジェクトに筆者は参加している。それが、「THK住宅査定システム」である。建物内覧時に基礎的な観察をし、その要素を入力するだけで中古建物の個々の品質に即した価格査定が可能になることを目指し、試運転が始まっている。これは、10の部位について、上・中・下の三段階で評価する。大雑把なようだが、これでも、すべて上からすべて下まで30通りの階差が査定しうる。

 

部位は、基礎、躯体、屋根、外部建具、内部建具、外部仕上げ、内部仕上げ等の10種類。例えば、基礎では、ベタが上、布基礎(床下土間コン)が中、布基礎(床下土)が下。躯体では、2000年基準が上、新耐震が中、旧耐震が下と査定する。所定のシステムに、目視による観察情報を10個インプットすれば、建物価格がアウトプットされる。

 

部材の査定価格はアップツーデートで洗い替えされ、各部位の数量(主として面積)も目分量で入力すれば足りる。そうは言っても、データ入力には、それなりの観察能力、技能が必要なので、システム利用者には、現場写真がテンコ盛り入ったマニュアルの配布と、一日程度の研修が与えられる。同様の建物価格査定システムの取組は他にも複数行われており、このような方法が、中古市場プレーヤーの技能向上に資することを願っている。

 

鑑定法人エイ・スクエア

顧問・不動産鑑定士 澁井 和夫

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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