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工場財団のメンテナンスと新たな活用(その1) - 鑑定法人エイ・スクエア/幸﨑任宏

 

最近、立て続けに3件の「工場財団のメンテナンス」についての相談を受けた。

一つは、工場財団組成済みの古い工場を購入し新工場を増設したが、古い工場の土地・建物・工作物・機械器具等を含めて、担保評価換えを行って銀行借り入れを増やしたい。二つ目は、М&Aを行ったが、被合併会社に減損の兆候あり、土地の再評価を行いたい。三つ目は、工場を売却したいと思っているが、工場財団目録等の整備をここ十数年間行っておらず、実態と合っていないがどうしたらよいか…というものである。

 

工場財団については、バブル崩壊以降地価下落が続いて担保力が低下したため資金調達手段としての用を成さなくなったこと、財団の実務を仕切っていた管理部門の担当者が高齢化し、定年やリストラ等で退職しても、実務を担える後継者を育ててこなかったことなどにより「工場財団のメンテナンス」がおろそかになってしまったことが相談の背景にある。しかし、アベノミクス効果により経済状況が好転してきており、上記のような相談が増えてきたようだ。

 

時代は環境エネルギー分野でのさまざまな投資活動を促している。資金調達手段としての工場財団抵当の対象を古典的な形態での「工場」としてのみ捉えることなく、メガソーラー、風力発電、地熱発電等の現場で新たな活用策を模索することも必要と思える状況になってきた。以下、2回にわたり、工場財団抵当制度について、メンテナンスと活用について考える。

 

工場財団抵当は、「工場抵当法」において規定するところにより、工場に属する土地、建物その他の工作物や地上権、賃借権とか機械、器具や工業所有権、ダム使用権といった有形・無形の財産を以って組成する「工場財団」を一個の不動産とみなし、その上に抵当権を設定して、資本の融通、担保を図るものである。財団組成物件の一体的有機性に着目しての担保制度であることから、動産・無体財産権の組成により、民法上の不動産抵当(狭義の工場抵当)等による場合に比べ、より大きな担保価値が得られる。

 

同制度は、財団組成物件を始めとする企業財産管理が十分に確立されていることが前提となる。そのような観点から、工場財団を設定していることは、企業信用力の向上という面でも有益なことといえる。また、費用的なメリットもある。工場財団抵当の設定登記では、登録免許税は、被担保債権額に対し1,000分の2.5であり、狭義の工場抵当の場合の1,000分の4に比べて負担額の軽減が図れる。(以下、来月の本欄に続く。)

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 幸﨑 任宏

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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