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増改築や修繕を反映させる鑑定評価基準の改正 - 鑑定法人エイ・スクエア/畠山文三

 

不動産鑑定評価基準が改正され、11月1日より施行された。改正の背景には、不動産市場をとりまく「状況の変化」があり、それは①不動産市場の国際化の進展 ②ストック型社会の進展 ③証券化不動産の多様化の3点に集約されている。ここでは、②について、特に建物評価についての問題点について、デューデリジェンス及び鑑定の現場での体験を踏まえて考えてみたい。

 

増改築や修繕を反映させる鑑定評価基準の改正増改築や修繕を反映させる鑑定評価基準の改正

日本で不動産の流動化が始まってから15年ほど経つ。一旦所有すれば殆んど“動かない”ものであった土地・建物を、証券に化体させて動かす(流通させる)ということで、デューデリジェンスの現場も当初は戸惑った。証券化するためには、法的、物的および経済的な側面からの適格性チェックが必要だが、経年の古い建物ではスンナリとはいかなかったからである

 

建物は、日常管理を怠らず、定期的な修繕・更新を適切に実施すれば機能が維持できるが、時には社会のニーズに合わせた機能向上の手段として改修を施して市場での競争力を保つ。こうした中、実態は「増改築」であるのに「改装」という認識で確認申請手続きを経ずに容積率を増加させてしまったり、廊下の幅員を狭めたり、避難通路に工作物を設置したりするなど、是正対応が必要な事象が散見された。その瑕疵の是正が困難な場合、その不動産の証券化は遵法面から不可能になる。これは証券化だけの問題ではなく、どんな建物でも原状に変更を加える場合には確認申請手続きの要否について留意すべき事項である。

 

改正鑑定評価基準では、建物の増改築や修繕等の状況を適切に反映した評価を徹底することになった。鑑定の現場では、これまでもそうした状況の把握に努め、増減価要因の程度について考量してきたが、改正基準では調査範囲等の条件を設定する場合、どの程度の調査を行うかを依頼者に確認することとし、例示として、①不動産鑑定士の通常の調査能力の範囲で調査を行う場合 ②法令上の規制内容等に係る調査のみを行う場合 ③一部に限定した調査のみを行う場合 ④上記に加え他の専門家の調査結果を活用する場合等を挙げている。

 

耐震補強や省エネ対応設備への改修を図ることが多くなった現在、銀行融資との関連で、耐震補強により残存耐用年数がどれだけ延びたかを判断して欲しい等の相談もある。鑑定士の通常の調査能力で結論を導くことが難しい事例であり、他の専門家の調査結果-エンジニアリング・レポート(ER)-を活用して判断することが望ましい。鑑定評価の精度を高めるためにも、建物所有者には中長期修繕費用の把握も含め、建物診断によるER取得をお勧めする。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 畠山 文三

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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