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地方都市のビル経営 - 長嶋不動産鑑定事務所 / 長嶋敏行

 

「何い!!社宅の入居希望者が誰もいない?」

 

これは、当社ではじめて起こった出来事である。よく聞いてみると、今住んでいる住居ビルのオーナーがよく面倒をみてくれるので、社宅には移りたくないとのこと。その面倒見の良さとはー
(1)敷地内にゴミの中間分別収集所があり、毎朝そこに分別して投げ込んでおくとオーナーが収集日にまとめて出してくれる。
(2)水道管が詰まったらすぐにオーナーが来て直してくれる。
(3)毎朝声をかけて何かと面倒をみてくれ、心強い。とのことだった。
他の社員も似たりよったりで、わざわざ社宅に移る必要はないと考えているようだ。

 

地方の住居ビルは新旧を問わず一般に空室率が高いが、当社の社宅は会社から離れたマンションの一室である。会社の干渉がないように立地を配慮したつもりだが、「低家賃」以外に「面倒見のいいオーナー」に対抗した抜本的対策を考えなければと思う。

 

九州の典型的な地方都市である大分市は人口四十七万人、支店経済から業所・出張所経済へと変貌した。在宅勤務の増加や福岡の出張圏内になり、生保や損保のビルはテナントが撤退して空室率が極めて高い。そうしたシャッター街、ガラ空きのビルが多いなか、保有ビル九棟の入居率が九〇%以上と健闘しているビルオーナーもいる。

 

彼は、戦前戦後を通じ大分市一番の商店街がいまや歯抜け状態で閑散としている中、中心市街地活性化のため補助金を導入し老舗家具店跡を購入した。一階飲食、二階物販・美容院、三階に美容・エステ・事務所が入居し満室、四階は広いガーデン付でテナントを企画誘致中である。事務所のルームシェアや、四、五ブロックに仕切ってミニ事務所にして借り易くしたり、テナント選別の際は事業力の有無を企画力や面接で気長く選別、対象顧客の方向性を統一している。リーマンショック後にオープンしたのでテナント集客に苦労したが、当社の送別会に利用したところ、オーナー自らワインをプレゼントしてくれるなど、一連のきめ細かい努力が高い入居率となって実を結んでいる。

 

これらの成功の秘訣は?
住居ビルオーナーは建材店から転業したが、持ち前の人柄のよさやメンテの良さで賃借人の信望を集めている。私が鑑定事務所を開業して以来、祖父、父と三代の交流がある商業ビル経営のオーナーは、美術大出のセンスの良さと古い社歴を通じたノウハウと信用が大きく寄与していると思われる。いずれも「面倒見の良さ」が他とは決定的に違うようだ。

 

㈱長嶋不動産鑑定事務所

会長 不動産鑑定士 長嶋 敏行

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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