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世界遺産(文化遺産)に登録された富士山 - 松浦不動産鑑定所/松浦英彦

 

本年6月、ユネスコの諮問機関イコモスは、富士山を世界遺産に登録すると発表した。事前に登録構成資産からの除外を指摘されていた三保松原を含んでの登録決定の報であったため、地元の喜びは一層大きいものがあった。静岡市で不動産の鑑定業務に長年従事してきた筆者にとっても、登録決定までの動きを振り返ると感慨深いものがある。

 

静岡・山梨両県及び関係市町村が富士山を世界遺産に登録するため、推薦書原案を文化庁に提出したのは平成23年7月であった。これは、世界遺産の評価基準に基づいた富士山の価値の証明と、適切に保護・保全する方針を定めた取組み成果の結実といえる。同年9月、国において富士山を世界遺産に推薦することを決定し、翌24年1月、日本政府はユネスコへ推薦書を提出した。それから1年半後、吉報が日本中を沸かせ、関係者の努力は報われたのである。

 

既に今夏の富士山登山者数は大幅に増加し、周辺観光施設の入り込み客は前年同期を上回っている。料金割引などを実施した駿河湾フェリーの乗船客は、前年比約50%増の勢いを示した。

 

富士山が世界遺産(文化遺産)に登録されたのは、富士山の持つ「信仰の対象」と「芸術の対象」を主とする文化的価値が、評価基準に適合していると判断されたからである。「評価基準」は全部で10項目あるが、そのうち、富士山信仰という山岳に対する「固有の文化的伝統を表す証拠として無二の存在」であることと、「顕著な普遍的意義を持つ芸術作品との直接的・有形的な関連性」をもつことが基準に合致するとされた。後者については、19世紀前半の浮世絵に描かれた富士山の図像が近・現代の西洋美術のモチーフとして多用され、多くの芸術作品に影響を与えたのみならず、日本及び日本文化を象徴する対象として海外に定着していることは誰しも認めるところである。

 

富士山の世界遺産登録は、世界に誇るべきこの霊峰の普遍的価値を確実に後世に継承するための第一歩となる。世界遺産を構成する資産の保護や来訪者による環境負荷を軽減する等、富士山の自然、景観、歴史・文化を守る取組みは当然ながらクリアーしていくべきことであり、確実な保存管理を担保する措置を講じることもルール付けられている。とはいえ、富士山が活火山であるという事実は重く受け止めなければならない。2011年に起きた大地震の影響により、マグマ溜りには強大な圧力がかかっており、噴火の可能性が高まっているとの予測がされている。Xデーに対する備えもおろそかにできない。

 

松浦不動産鑑定所

不動産鑑定士 松浦 英彦

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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