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不動産景気と漠然とした不安 - 森島不動産コンサルタンツ/森島義博

 

今年の不動産業界における話題は、何と言ってもアベノミクスと東京オリンピックだ。どちらも、景気が良くなって不動産業界を潤すように感じる。ホントか? 首相と日銀総裁が変わり、金融政策が大幅に変更されて20年にわたるデフレから脱却したと喧伝された。株価は急上昇、文字通り気分としての「景気」は良くなった。資産のもう一つの代表である「不動産」の価格も上がるだろうと思うのは当然である。ある仲介業者は、個人投資家からの収益用不動産の問い合わせが1年前の4倍になったと言う。リートは増資を行って新規物件の取得スピードを加速させている。しかし、景気の実態を詳細にみてみると、アベノミクスは「魔法の杖」ではなさそうだと分かってきた。

 

大丈夫か?と漠然と不安を感じ始めたところに、オリンピック東京招致の決定だ。大喜びするテレビの映像を見ながら、これはきっと良いことで、景気にも好影響が出ることなのだと感じた。ホントか? オリンピック施設の整備で一番潤うはずのゼネコンが喜んでいない。人手不足、原材料費の高騰で利益が出そうもないからだ。これでは好景気につながらない。また、東京全体の不動産価格に良い影響が出ると思うのも幻想だろう。価格上昇が見込まれる不動産は、オリンピックに関わるインフラが整備・改修される地域に限定されるのではないか。これについては面白い話がある。大改修が必要とされている首都高速道路の地下化に伴う話である。もしも噂のように地下化されれば、現在高速道路に面して建っているビルの価値は格段に上がる、少なくとも日本橋上空周辺の高速道路の地下化は現実性が高い、大改修はオリンピックの開催時期を一つの目途とするであろう、という話である。ホントかも。でも、オリンピック後の過剰投資に伴う恒例の不況も心配。

 

未来の乗り物リニアモーターカーはなぜ名古屋までなのか? 疑問に思っている人も多い。お金の問題などが絡んでいるのだが、名古屋では大歓迎。駅前では3つの大規模ビルの建設が進んでいる。実需はあるのか? リニアは本当に必要で実効性があるのか?

 

最も大きな不安は原発事故である。廃炉・修復工事は遅々として進まない。見通しも立たない。「コントロールされている。」という言葉を信じてよいのか? 海外の不動産業者の中には、箱根から東の地域は放射能の影響を逃れることはできず、長期的には人の健康に、ひいては不動産価格にも影響が出ると言う人もいる。ホントか? 師走に振り返り、新年に思いを巡らすタネは尽きない。

 

森島不動産コンサルタンツ

不動産鑑定士 森島 義博

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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