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「武蔵小杉」今昔 - 藤田洋美不動産鑑定事務所/藤田洋美

 

「住んでみたい街」ランキングで上位につける川崎市中原区の「武蔵小杉」。神奈川県が9月16日に発表した2015年の基準地価(7月1日時点)でも、武蔵小杉駅に近い商業地の地点でこの1年間の上昇率が10.3%と県内第1位となった。10年前の平成17年の約1.9倍の水準である。住宅地でも、駅北西に位置する再開発エリアに近い地点は県内第3位という高い地価水準となり、武蔵小杉の勢いはまだ続いている。

 

私が中原区に引っ越して来たのは今から10年前のこと。当時、タワーマンションは一棟も建っておらず、綱島街道東側に位置する不二サッシの工場跡地に最初のタワーマンションが建設されようかという時期であった。マンションの竣工時点でもまだJR横須賀線「武蔵小杉」駅は開業していなかったため、東横線の「武蔵小杉」駅を利用していたが、やや遠く、商業施設も充実しておらず不便な印象を受けたものだ。2010年にJR横須賀線の新駅が開業し、2013年以降は大型商業施設の整備が進んだため再開発エリアの利便性が格段に向上した。その利便性の高さから、若年層を中心に人気の街となっていったのは周知のとおりである。

 

武蔵小杉駅は、1953年(昭和28年)にJR南武線の「グラウンド前」駅と「武蔵小杉」駅、それに東急線「工業都市」駅の3駅が統合されて誕生した駅である。南武線沿線の農村地帯に日本電気や東京機械、不二製作所等の工場が進出してから、武蔵小杉は“工場のまち”、“社宅のまち”として活気にあふれていたという。しかし、産業構造の変化に伴い工場は移転し、武蔵小杉は工業地域としての役割を終えた。

 

現在は川崎市の「第3新都心」と位置付けられ、新しい役割を担っている。川崎市は小杉駅周辺の街づくりについて、少子高齢化を見据えて、商業・業務・文化交流・医療・文教・都市型住居等の機能を集積させた「歩いて暮らせるコンパクトな街づくり」を推進している。再開発と同時に、老朽化していた図書館や市民会館等の整備も行われ、これらの公共公益施設は再開発マンション内に移転した。

 

現在も駅北西部で再開発が進行中のため当面は人口流入が続くと予想されるが、2014年に川崎市が発表した将来人口推計によると、中原区は2035年に総人口のピークを迎える。市全体のピークよりは遅いものの、少子高齢化・人口減少の流れは確実にやってくる。その中にあっても、行政、民間企業、市民等の取り組みが有機的に繋がり、武蔵小杉がこれからも活気あふれる「住んでみたい街」であり続けていくことを期待している。

 

藤田洋美不動産鑑定事務所

不動産鑑定士 藤田 洋美

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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