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震災10年後の展望 - 鑑定法人エイ・スクエア/畠山文三

石巻市での仕事の帰途、かねてより震災復興が進んでいるといわれた女川町まで足を延ばした。「女川町復興計画」は震災半年後の平成23年9月に町議会で可決され、その1年後には復興工事に着手するなど、きわめてスピード感のあるものであった。

 

震災10年後の展望イメージ-女川駅より湾を望む

しがらみの多い地方の町にあって、各世代間、業界、行政の垣根等を超えて新しいまちづくりのコンセンサスが早期に得られたことは驚きでしかないが、これは住民が主体となり、「還暦以上は口を出さず盾となり、次の世代に町の将来を託した」ことが大きな力になったようだ。

 

減災の視点による「居住地の高台移転」を基本に、コンパクトなまちづくりが進められ、低地部では住宅用途等の建築を制限し、商業・業務・工業エリアとして都市機能を集中配置している。女川駅と港を結ぶラインには低層の観光交流施設が整備されていた。

 

コロナ禍の最中で客は少なかったが、海とともに生きることを選んだこの町に早く賑わいが戻るよう祈るばかりだった。女川町ほど復興は進んでいなくとも、東北地方沿岸部ではまちの「形」は区画整理によりかなり整備された。

 

問題はこの10年の間に人口が想定以上に減り、かさ上げされた土地も含め未利用地が広がっていることだ。就労先となる企業などを誘致することがこれからの大きな課題であり、人口が増えれば、子育て、教育、医療、介護等の充実と好循環をもたらし、まちの経済力もついてくる。

 

42年前の中国。沿海部4か所に「経済特区」が指定され、中央政府主導のもとで外資誘致を図るべく集中的な開発・投資が行われた。88年には海南島が5番目の経済特区となった。80年代半ば以降、筆者は深圳経済特区や海南島を何度か訪問したが、インフラ整備は不十分で、両地域、とりわけ海南島が以後大いなる発展をとげることは想像外のことであった。

 

今や、深圳市は「アジアのシリコンバレー」と呼ばれる世界的なIT都市となり、海南島は観光・リゾート産業の先進地となった。中央集権国家に学ぶべきことがあるとすれば、進出企業には税制、雇用など全般にわたる徹底的な優遇策を施し、以って地域を変革するという強い意思ではないか。当時、中国ではどこの地方へ出張しても聞かされる宣伝文句は「いかに当市が外資にとって進出メリットが大きいか」であった。

 

改革開放政策がスタートして全土に熱気が溢れていたあの時代を想うにつけ、東北の震災地域への取り組みは今一歩のものがある。

 

次の10年のスタートに当たっては、人口を増やして地域を豊かに変革させることに、政府や自治体は「強い意思」を示して欲しい。

 

鑑定法人エイ・スクエア

不動産鑑定士 畠山 文三

株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)


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